小平市のお客様より勝川春章 浮世絵「堀河夜討之図」買取させて頂きました
勝川春章(享保11年〜寛政4年、1726〜1792)による「堀河夜討之図」
勝川春章は知名度では歌麿や北斎には劣りますが、その実力はトップクラスの浮世絵師です。
写実性を加えた役者絵を創始したとされており、春章無くしてはのちの写楽でさえも誕生していなかったとも言われるほどです。
本図は文治元年10月に源義経が兄である源頼朝の刺客・土佐坊昌俊に命を狙われ、京都六条堀川の館にて夜襲を受けた「堀川夜討」の話を題材にしています。
今まさに、夜襲の勢力を迎え撃たんと鎧をつけ、兜の緒を締める義経。その隣の女性は鶴岡八幡宮の舞で有名な義経の愛妾の静御前です。
義経の表情は決意に満ちた精悍さをたたえており、矢羽根の入った箙を手渡す靜御前は気高くもどこか心配そうにも見えます。戦いの結末としては健闘の甲斐あり、義経は源頼朝の刺客・土佐坊昌俊逆に討ち取ることに成功します。
安永(1772~81)頃の作品で、義経の身に着ける鎧や装身具、および静御前の着物の衣装文様などは細部に至るまで大変緻密に表現され、色彩も品があります。
折れなど状態に関しては惜しまれますが、図柄としては実に魅力的な作品となっています。