国分寺市にて大津絵、鷹匠の掛軸など買取させて頂きました。
大津絵の歴史は古く、江戸時代初期に遡ります。大津(滋賀県)にて東海道を往来する旅人などに向けて、一種のお土産品として売られていたのが始まりです。
初期には仏画など多くの図柄が描かれた大津絵ですが、江戸後期に入ると絵柄が十種に絞られたようです。今日つとに知られる、有名な図柄たちはそれぞれ効能を持たせた、護符としての役割を与えられました。
今回の「鷹匠」は「利益を収め失物手に入る」という意味を持っていたそうで、その他には、
「寿老人(外法と大黒の梯子剃り)」は長命を保ち百事如意。
「雷公の太鼓釣り」は雷除け
「藤娘」は愛嬌加わり良縁を得る
「座頭」は倒れぬ符
「鬼の寒念仏」は小児の夜泣きを止め悪魔を払う
「瓢箪鯰」は諸事円満に解決し水魚の交わりを結ぶ
「槍持奴」一路平安道中安全
「釣鐘弁慶」身体剛健にして大金を持つ
「矢の根」目的貫徹思い事叶う「利益を収め失物手に入る」という効用が信じられていました。
江戸初期から続いてきた大津絵ですが、実は明治期の西欧化の際には一時期、忘れられたこともありました。この魅力あふれる大津絵を再発見した人物が、民藝運動で知られる柳宗悦でした。「民画」ともよばれる通り、描いたのは名もなき画工たち。衒いのない筆による、素朴で伸び伸びした表現が大きな魅力となっており、現在でも多くのファンがいます。